週刊瞬間

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ある朝突然、パンが嫌いになった

朝ご飯は必ずパン、おやつは焼き菓子の生活を続けて丸3年。明日で4年目になる。

パンも焼き菓子も好きで、毎朝おなかが空いて目が覚めて「パン食べたい!」と思っていた。

かばんには常に焼き菓子を潜ませていて、15時になるのを日々心待ちにしていた。

よく考えてみると幼稚園の時から朝ごはんはトーストと目玉焼きとウインナーである。

弟はパンかご飯か麺類か選ぶことができたが、私は必ず決まってトーストと目玉焼きとウインナーだった。

高2の時一度だけ母に

「私も朝、ごはんとか麺が食べたい。」

というと、

「や、あんたはパン。」

と選択権をもらえなかった。

母曰く、弟は朝ごはんを食べないので選ばせてでも食べさせたい親心。私は遅刻してでも朝食を食べるので、手早く確実に食べ切れるものをという親心。とのこと。

理由はどうであれ19年間朝食にパンを食べ続けてきた。

この生活が一生続くと思っていた。

 

今朝突然、「パン飽きた。もう食べれん。」

と思ったのである。とりあえず口をつけてみても、もうどうしても食べられない。

嫌いになったのではない。もう食べれないのである。

戦時下に生きたお年寄りが

「甘藷は一生分食べたから食べない」

と言うのをよく聞くが、まさに私もパンはもう一生分食べたのだと思う。

飢餓の時代のそれと飽食の時代のそれとでは全く重みが異なるが、とにかくもうパンは食べられないのである。

下手したら昼食も夕食もパンを食べていたので、パンが選択肢からなくなった今、何を食べたらいいかわからない。困惑している。

 

それでも今、食べ残したパンが机の上にころがっているが、見るのも嫌である。

午後もパン屋でバイトである。