週刊瞬間

毎週水曜日19時更新

2018.5.27.sun-2018.6.2.sat

 

もし しばたあさひ がカップ焼きそばの作り方を書いたら

木曜、4限提出の調べ物が済んでいない。1限を終え、資料室で大急ぎで片付ける。なんとか間に合いそうで一安心。

食堂で昼食をとる。実は昨日からずっと冷やし中華が食べたい。甘くて酸っぱくてちゅるちゅるな冷やし中華の"口"になっている。おかもんと券売機に並ぶも、夏季限定メニュー冷やし中華は品切れになっていた。残念。本当に品切れなのか?初夏はもう夏を名乗っているのに、初という言葉に甘んじてまだ商品自体用意されてないんじゃないのか?売店にお弁当の冷やし中華がないか確認しに行くも、昼過ぎの売店にお弁当の類が残っていることはまずない。渋々パンを買おうとする。けど、パン屋でバイトしてパンもらって帰りまくりなのにパンを買うのは癪に触る。貧乏性。

そんなこんなで目に付いたのがカップ麺。あんまり食べないから買う時はどれが美味しのかわからなくて悩んでしまう。棚の端っこ、平たくて大きな丸、カップ焼きそばUFO。そう言われたらこないだ、『もし文豪がカップ焼きそばの作り方を書いたら』という本を読んだ。冷やし中華と同じ麺類だが対極にあるカップ焼きそば。気づけばすっかりカップ焼きそばの"口"になっていた。お茶と一緒にカップ焼きそばを買う。売店のポットで湯を注ぐ。液体ソースが後入れだったり、ふりかけがあったり、手間がかかるけどこういうのちょっと楽しいな、と思いながらお湯を注ぐと、カップ焼きそばの入れ物は浅いので、ポットから滔々と注がれる湯が全部跳ね返って手にかかりあげた。あっつくって、リアルに熱い時の手がブルブルなる感じの驚き方をしてしまった。ほなみちゃんに「大丈夫か?」と言われた。恥ずかしい。

脇に財布を挟み、右手にお茶、左手にカップ焼きそばを持ち、食堂に行く。売店と食堂の間の自動ドア、いつも反応してくれない。手を出して、センサーを反応させる。もはや自動ではない。席に着き、3分待つ。ここで、カップ焼きそばはお湯を捨てないといけなかったことに気づく。せっかく人混みかけわけ席に着いたのに。湯切りがカップ焼きそばの醍醐味ではあるけど、なんか悔しい。

ほなみちゃん「あさひちゃんとごはん食べるの久々~」

おかもん「たしかに、食堂におるの久々に見た」

最近は学祭の準備をしたり、会議にでたり、家でご飯食べたりしてたから、確かに久々。こうして時間を共有できるのが嬉しい。だけど私は、この貴重な時間を、湯切りをするため席を立ちますよ。すみません。

食堂の端にある小学校の手洗い場みたいな水道で湯切りをする。多分みんなここで私が麺を全落としすることをちょっとだけ期待している。けどそんなヘマはしない。いい感じに湯を切って席に戻る。

おかもん「ちゃんと湯、きれたか?」

やっぱり期待されていた。

飛び散らないように気をつけながら液体ソースとパッケージに書かれた合わせ調味料をかける。油の金色6割、ソースの茶色4割という具合の液体ソースをかける時、うまく混ざり合わず分離している金色と茶色の境目の色が不気味で、なんとなく不安な気持ちになる。そんな気持ちをかき消すように、手を上下に波波動かしたり、麺を持ち上げたりしながら、液体ソースをプラスチックの容器全体に馴染ませた。

そのまま一口。カップ麺って万人の口に合うようにつくってあるんだよね。流石美味しい。私の悪いところなんだけど、最初の一口が1番美味しい。二口目からは、油っぽいな、とか、口がてかてかになるな、とかが気になってしまって美味しいか美味しくないかがどうでもよくなる。何を食べてもそう。贅沢なんだと思う。

ここまでで私が重大なミスを犯していること、気づいている人、えらい。

食べ終わって、めくったシール蓋の裏を見ると、ふりかけがあった。青のりと紅生姜の乾燥させたのが合わさったふりかけ。

液体ソースを吸い込んで茶色くなった割り箸に「ばーか」って言われた気がして、ふりかけ損ねたふりかけと金色と茶色がべったり付いた液体ソースの袋と、うまく折れなくて一本ずつへし折った割り箸も全部UFO型のUFOのカップにまとめてゴミ箱に捨てた。